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立ち上げから1年で売上5倍!日本酒をアメリカで広めるD2Cブランド「Tippsy」ストーリー

アメリカでShopifyを使い、日本酒の楽しみ方をサブスク提案。多くの日本酒ファンが集うTippsyの代表である伊藤さまに、ECサイト立ち上げ、現状、今後のビジョンなどを聞いてみました。アメリカで起業を果たし、成長し続ける秘訣とは?日本国内のみならず、海外展開を志す方へのヒントがたくさん詰まっています。

Tippsy事業内容

それでは早速、代表の伊藤さまにTippsyについて教えていただきましょう!

Tippsyは、全米トップのセレクションをもつ、日本酒専用ECプラットフォームです。アメリカにおいて日本酒マーケットはニッチですが、日本酒を飲んだことがある人は実はたくさんいます。

アメリカの今のミレニアル世代はSAKE BOMBと言って、日本酒をショットで一気飲みするなど、日本のそれとは違う飲み方で学生時代から日本酒を消費しているんです。消費トレンドの移り変わりの早いアメリカでSushi, Ramenが食文化に根付いたように日本酒の認知を変えていくために消費者に直接コミュニケーションできるプラットフォームとしてTippsyをローンチしました。ブランド認知や専門用語の理解が難しい日本酒をストーリーとセットで消費してもらうというコンセプトの基、日本酒のお試しボックスをサブスクリプションサービスというかたちで全米のお客様へお届けしています。

今までは、サプライチェーンで中間問屋がたくさん入っていたり、言語の壁があることで、蔵元が海外マーケティングに力を入れられない状況にあったので、そんな日本酒ブランドのストーリーを代わりに届けるためのサイト作りをしています。

商品詳細にその酒独自の特徴を非常にわかりやすく書いてますよね!このデザインも伊藤さんが考えられたのですか?

商品詳細ページ
酒蔵紹介ページ

そうですね。アメリカのワインサイトのUIを参考にしながら、チームで見せるべき情報を整理して、Friendly, Casual, Approachableというブランディングに添った見せ方にしています。

ボックスが届いたときに、カードも入っているんですよね?

Tippsy サブスクリプションボックス

サブスクリプションボックスには日本酒のミニボトル3本と、その日本酒を説明するカード3枚を入れています。

一般的にアメリカのコンシューマーは日本語ラベルが読めないですし、ボトルの色を薄ら憶えているくらいの程度なので、コンテンツ消費という形に変えて、「吟醸酒ってこういう感じなんだ」「生酛(きもと)造りってこういう味なんだ」というのを飲み比べしながら理解してもらっています。そして、地方特有のお米や地域性についても、少しづつニュアンスを掴んでもらい、日本酒のコンシューマーとして育ってもらうということを考えています。そのために、日本酒のセレクションが一番大きい、いわゆるWine.comの日本酒版みたいなEコマースプラットフォームを作っています。そして、そのお客様が日本酒を気に入って、Tippsyサイトに戻ってきてくださり、大きなボトルを買ってくださるという導線でデザインしています。

2018年11月ローンチから今までのお客様の反応

ミニボトル3本が入っていると、「日本酒といっても、種類やメーカーによってこんなに味が違うんだ!」と楽しみながらお酒を知ってもらえますね。2018年11月ローンチからの反応はどうですか?

売上でいうと単月売上が1年で5倍になりました。昨年最初の資金調達を終えてビジネスモデルを確立し、マーケティングコストやLTVが分かってきたので一気にスケールするため、今はシードラウンドの資金調達でベンチャーキャピタルと話しています。

単体販売もされていますが、サブスクとの売上比率はどうですか?

3割以上がサブスクですね。

まずはボトル販売の顕在需要を狙っています。地域によってはまだ日本酒のセレクションが揃っていないとか、アルコールの規制がありサプライチェーンにむらがあるので、末端のリカーショップまで日本酒の品質を保ったまま出回らないことが多いんです。日系スーパーが近くにあれば手に入るのですが、そういった方達ばかりではないのが実情です。そういった顕在需要を捕まえるためのEコマースプラットフォームとして、まずは既存販売チャネルの中で最大の売上にすることが短期的な目標です。その次に、飲んだことがあるけれどそもそも日本酒が何かよく分からない方をコンバージョンしていく。この2つを同時進行で取り組んでいます。

ローンチから1年弱なので、新規のお客様が多いかと思います。3割のサブスクライバーはリピーターで、日本酒を好きになってくれているんですね。

3ヶ月プラン、6ヶ月プラン等様々なプランをご用意しています。ギフト需要もありますが、ぽんっと12ヶ月分買ってくださり、次に届く酒はなんだろうと楽しみにしてくださっている方がたくさんいます。

カスタマーレビューが高い理由は?

500件以上あるレビューを見ると、どれも高評価ですし、日本人というよりは現地の方が多いですよね?

そうですね、日本人はほとんどいないですね。

良いレビューがあるとTwitterでも共有されていますよね。管理が大変だったり悪評を付けられるのではないかという心配から、レビューアプリ導入を嫌う会社様もいますが、やはり実際買っている方の声(Word of Mouth)が一番かと思います。レビューを入れようと思ったきっかけは何ですか?

最初はそこまで重要ではないと思ったのですが、アメリカでは一般的に使われていますよね。はじめYotpoを使ってみて、ある程度数が出てきて、コンバージョン率が上がってきました。もちろん、それだけが要因ではないですが。

今もYotpoですか?

今はREVIEWS.ioに変えました。Yotpoも良いですが大きい会社なので必要な機能の追加やその組み合わせと価格の折り合いが付かなくなりました。

アプリのリサーチも全て伊藤さんがしているのですか?

そうですね。技術的なことが分からず苦戦することもありますが。

リワードプログラムはLoyaltyLionですか?

そうですね。以前はYotpoと連携出来るSwellを入れていましたが、LoyaltyLlionにしてUI/UX改善ができたと思います。

その時のフェーズに合わせてアプリを変えていけることもShopifyのよさですよね。

Shopify立ち上げからの運用秘話

―実際にShopifyで運営をしてみた感想は?

Shopifyでないと、技術がない人だけでの立ち上げが難しいですよね。これはShopifyの大きな功績で、コードが分からなくてもアプリを組み合わせたりすれば、ある程度のものはできますよね。高度なカスタマイズを狙わなければ、見た目も美しく、いいものが安くできるのが良いですね。

もしも問題があるとすれば、テーマのカスタマイズに限界があること。テーマの制約の中で構築をするので、できると思っていたけれど、いざアプリを入れてみたらできないなど、完璧にしようと思うとなかなか思い通りに行かないことも多いです。

確かに、既存のビジネスプランをそのまま具現化しようとすると難しいこともありますね。逆に、Shopifyなどのプラットフォームでできる事に合わせた方がいいのでしょうか?

UI部分は特にそうですね。テーマもその中で出来るブランディングに限界があります。もしもオリジナリティーを追求したかったらスクラッチで作るしかないですもんね。その費用が見合うかと言ったら、大概のビジネスはそこまでする必要もない。ShopifyがなかったらこんなにEコマースが盛り上がってないというのが事実だと思うので、すごくいい会社だと思います。

Tippsy オンラインストア

―日々の運用における利便性は?

仕入れ、シッピング、パッキングはチームで運用しています。色々と迷って、オペレーションアプリを入れてみたりして、なんとか今のかたちで運用が出来ています。本来ならばスクラッチで理想通りできればいいですが、無料や月10ドル程度のアプリを組み合わせたら、困らないくらいのオペレーションはできます。

これがもっと複雑になってくると、どこまでスケールできるのかが分からない部分も正直ありますね。

分析からデジタル広告運用もご自身で行われていますが、アメリカのD2Cで実店舗を持たないECとなると、デジタル広告も重要だと思いますか?売上に対しての広告費用のパーセンテージは決まっていますか?

顧客獲得のためにはそれしかないですよね。Facebook、Instagram、Googleがほとんどですね。広告費用は月々変わりますが、まずは利益よりも効果的な獲得チャネルの発見と検証の繰り返しで効率を上げていくということにフォーカスしています。

今後の展望は?

日々の並々ならぬ努力の結果、着実に日本酒ファンが増えていると思います。今後の目標を教えてください。

日本酒の認知を変えること。アメリカで白ワインみたいに日本酒を飲んで貰える時代を作るというのがミッションで、世界で一番日本酒を売れるマーケットプレイスになるというのが会社のビジョンです。

そのためにまずはリテールからスタートし、圧倒的な商品セレクションとマーケティングで将来的には日本酒の川上にいって、もっとサプライチェーンをきれいにし、ワインがアメリカで手ごろな価格で手に入るようになったみたいに、日本酒自体の需要を広げることをしていきたいですね。

米国市場に進出したい日本ブランド・Shopifyを検討している方へ

これからアメリカマーケットに進出したい方へのアドバイスは何かありますか?

アメリカへ販売しようと思ったらアマゾンでもできますよね。需要があるか確認をするためにテストマーケティングができるので、それからECへ投資する。そこで初めて、アメリカではどういう商品をどういう風に見せるかというフェーズ。

お客様あってこそなので、そういったリバースエンジニアリングというかたちをとるのが、一番いいんじゃないでしょうか。

いきなり0からスタートではなく、試すプラットフォームがありますもんね。

そうですね。よくあるのが最初にコンセプトとブランディングを日本でのアイデアや成功経験から作ってしまって販売を開始してしまうこと。そもそも販路としてShopifyが正解だったのかという問題に行き着く可能性もありますね。商品がある会社なのであれば、誰がお客さんなのか?日本とアメリカではお客さんが変わってくるので、そのお客さんに何が刺さっているのか?価格は適正なのか?パッケージは適正なのか?ということを分かった上で、販売チャネルの構築ですよね。

当然Shopifyはオンラインで販売するなら使い勝手がいいですが、本当にそれが売上を伸ばすのに一番の手段なのか?アメリカに売上を拡大させるならインポーターを使って販路拡大でもいいのではないかということを先に議論すべきだと思います。

海外進出でよく陥りがちなところかもしれないですね。

プロダクトファーストで、日本で売れるからといってもアメリカで売れるかは分からないですよね。もしもD2Cでダイレクトにコンシューマーを狙うのであれば、コンシューマーを知らなくてはいけないですね。

そうですね。一番大切なところですね。とても参考になりました。本日はありがとうございました!今後も情報交換させてください!


プロフィール:

伊藤元気
Tippsy, Inc – Founder / CEO
https://www.tippsysake.com

愛知県名古屋市出身。南山大学在学中1年間ニューヨーク語学留学を経験。東京での人材エージェント勤務を経て大手食品商社に入社。約10年間、LA、NY、ハワイにて、日本食関連商材のマーケティングやオペレーションに従事。2018年にUniversity of Southern California, Marshall School of BusinessにてMBAを取得。日本酒ECのTippsy, Inc. を起業。


Tippsyさんとの対談、楽しんでいただけましたか?GO RIDEは横浜・ロサンゼルスの2拠点からビジネスをサポートいたします。

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Miho