“Less is More” な旗艦店とは?デジタルネイティブのブランドが始める新しい形のフラッグシップストア

by Marina Fujihara

こんにちは。

皆さんは“旗艦店(フラッグシップストア)”と聞くとどのようなお店をイメージされるでしょうか。

Wikipediaでは、旗艦店は「会社の中で最大の設備・規模を有する中核店舗、あるいは先駆的な試みをする位置付けの店舗」と説明されています。

スターバックスの旗艦店「スターバックス リザーブ ロースタリー 東京」が中目黒にオープンし、大きな盛り上がりを見せていたのも記憶に新しいですね。

フラッグシップストアと聞くと、巨大ブランドが構える立派な店舗、という印象を受けることが多いと思います。もちろんそのような旗艦店も多くありますが、ここ数年でそのトレンドが大きく変わってきています。

こちらの記事では、実際のLAのD2C来店レポートも踏まえ、フラッグシップ・路面店の今後のあり方について考えてみたいと思います。

1.デジタル・ネイティブブランドによる旗艦店

これまでは、店舗を何百も抱える巨大ブランドが、その中核として旗艦店を構えるのが一般的でした。しかし近年の特徴は、もともとオンラインストアのみで販売を行っていたD2Cのデジタル・ネイティブブランドがフラッグシップストアを構えるようになっています。これは特に、アパレルブランドや美容・コスメブランドなどに多く見られます。

皆さん、GO RIDE Newsのこちらの記事【ついに日本上陸!D2CブランドAllbirdsの店舗に行ってみました。】はご覧になられましたか?allbirdsはまさしく、フラッグシップストアを持っている、D2Cのデジタル・ネイティブブランドです。2016年にオンラインのみでの販売が開始された後、2017年に初のフラッグシップストアとなるニューヨークの実店舗をオープンさせています。

2.商品を売るだけではないお店づくり

新しい形のフラッグシップストアの最大の特徴は、消費者に対して “体験” を提供するお店であるということです。商品を購入するのはだいだいオンライン、という方も多いのではないでしょうか。だからこそ、実店舗で付加価値が得られることが特に重要視されるようになっているのです。

Everlaneというサンフランシスコ生まれのアパレルブランドも、このビジネスモデルの台頭として知られています。

Everlaneは、2010年にオンラインストアのみでの商品販売をスタートし、2015年にモバイルアプリを発表。その後の2017年に満を持してニューヨークに初の旗艦店をオープンさせています。



Everlane SOHO店

シンプルでクリーンな内装が印象的。そしてEverlaneの実店舗では、店舗アンバサダーからの1時間のスタイリングセッションをオンラインで予約することができ、このような洗練されたショッピング体験、そしてよりパーソナライズされた体験を提供することが今注目されています。

3.小さいお店・少ない在庫

フラッグシップストアのトレンドは小さいお店、少ない在庫

「旗艦店」というと以前は、「巨大で他の実店舗よりも在庫がたくさんある店舗」というイメージがありました。しかし、特にオンライン販売をメインとしているブランドにおいて、それはもう必要なくなっているようです。

なぜなら、先述したように、新たなスタイルのフラッグシップストアはブランドから消費者に体験を提供することを重視しているため、小さい規模で少しの在庫を持っていれば十分だからです。

これは、言い方を変えると、フラッグシップストアに置かれている商品はより “厳選されている” ということです。また、そのほうがブランドのイメージやメッセージを効果的に消費者に伝えることもできます。

先程紹介したallbirdsの記事のなかでも、GO RIDEメンバーがallbirds原宿店についてこのようにコメントしています。

店内は細長いつくりで決して広くはないのですが、スニーカーを一足づつ壁にディスプレイしており窮屈感や圧迫感のない空間です。

世界各地で大人気のallbirdsの実店舗も、今までの旗艦店のイメージとは違い、比較的小規模で親しみやすい雰囲気が特徴となっていました。

4.GO RIDEメンバーによるLAのD2C店舗訪問レポート

アメリカのD2Cブランドのストアはどんな感じなの?ということで、GO RIDEのLAメンバーが実際に体験してみました。今回訪れたのは、先程もご紹介したEverlaneのストアです。

ロサンゼルス中心部からほど近い海岸沿いに位置するAbbot Kinneyにある店舗。

店内は白を基調としたクリーンな雰囲気。ゆとりのある空間とディスプレイでゆったりと落ち着いて買い物を楽しめます。

everlaneといえばRadical Transparency(徹底した透明性)を売りにしているブランド。オンラインストアにも下記のように記載されています。

徹底した透明性
店舗の壁面ところどころにブランドのメッセージが書かれています。洋服を見ながら店内を回っているうちにどのようなブランドなのかが頭に残ります。
Allbirdsも同様に店内のディスプレイに混ざって、使用している素材のことなどブランドが伝えたいことが書かれていました。
東京で買い物をしていてもまだあまり見かけることのない店舗づくりですよね。
中間業者を通さないD2Cブランドだからこそ、直接消費者に向けたメッセージを発信する事で、共感してもらえるようなファンづくりを行っています。
店内にはオンラインストアを見ることができるタッチパネル。例えば欲しい商品をこちらで探して店員さんに聞くこともできますし、お店に在庫がなくてもオンラインにあるかどうか確認ができたりもしますね。
「フィッティングしなくても、着用イメージが分かるのが良い!」というLAチームの意見も。
フィッティング前に設置されたモニター。フィッティング混雑時に名前と電話番号を記入することで自分の順番になったらSMS通知を送ってくれます。
「ご試着をお待ちの〇〇さーん!!」と大声で呼ばれることがないので、スマートでいいなと思いました。
ゆったりとした買い物体験を楽しめるような空間づくりに一役買っています。
フラッグシップストア、またD2Cブランドが展開する実店舗にはブランドの思いを体現する様々な工夫が詰まっています。オンラインに物が溢れている今、商品を買う目的だけでなく、ブランドの世界観を体験ができることがこれからの路面店のあり方になっていくのではないでしょうか。

GO RIDEは、横浜とロサンゼルスの2都市を拠点としております。
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